個を尊重し、個に応じた教育が必要では?

個を尊重し、個に応じた教育が必要では?

 

小学生の頃、同じクラスに知的障害を持った女の子がいた。
小学6年の時、担任の女性教諭がクラスの生徒全員を前にして
「○○さんは皆さんと同じ中学校に行った方が良いですか、
 それとも特別な学校に行った方が良いですか、どちらが○○さんの為になるでしょうか」
みたいな質問をし、どちらが望ましいか挙手を求めた。

 

クラスの生徒の殆どが、特別学校の方が有益だろうと挙手したのだが、それを見た瞬間、担任の女性教諭は泣き出した。
「貴方たちは何て酷い人なんだ!」と。

 

俺らは、俺らなりに精一杯、彼女の面倒を見てたし、友好な関係だった。
でも、小学生とはいえ、俺らなりに必死に最善の選択を考えたのだと思う。

 

女性教諭はクラスの生徒全員を一列に整列させ、思いっきりビンタを食らわせて行った。
女子生徒の大半が泣き出したが、○○さんが受けた心の痛みはこんなものじゃないと言って、もう一度、全員にビンタを食らわせて行った。
その後、延々と説教タイムがあって、生徒の殆どが嗚咽みたいな状態になった。
そして1人1人、知的障害の女の子に謝罪する事になった。結局、同じ中学校だった。

 

 

 

普通学級に通学するのが、物理的に困難な障害児の入学をゴリ押しする親や人のニュースを見るたびに、以前に見たドキュメンタリーを思い出す。

 

サリドマイド児の親のドキュメンタリーだったのだが。
生まれついて重い障害を負って生まれた息子の為に、親は「サリドマイド児の親の会」を立ち上げて、休日は全て会の活動。
「障害者に理解のある社会=息子の為」との強い信念のもと、息子を連れて積極的にマスコミにも出たり、講演活動も行った。
さらに、息子を普通学級に進学させた。

 

息子は重い障害を負いながらも大学に進学。一時は、マスコミにもてはやされた。
が、大学卒業後、障害を負った息子は何処にも就職できなかった。

 

ここで、息子は生まれて初めて本音をぶっちゃける。
「子供の頃から、人前でさらし者にされて辛かった」
「休みの日くらい、家族だけで過ごしたかった。家族だけで遊園地や旅行に行きたかったのに」
「普通学級になんて行きたくなかった。手の無い俺が、普通学級でどれだけ不自由で辛く、孤独だったか。どれだけ、危険で屈辱的(同級生による排泄介護等)な思いをしたか!」
と、延々と恨み言を言い出した。

 

で、親が「何で言ってくれなかったんだ!」と反論したら
「言ったが、全て“お前のためだ”で済まされた。  一度だけ、同じ障害を持つ子供たちがいる養護学校に行きたいと言ったら“負けるな”と説教された」
「俺みたいな障害を持った子供が、親に見捨てられたら生きていけない。だから、言いなりになっていた」
「お前たちは“俺の為”と言っていたが、結局は自分たちが社会から注目されてチヤホヤされたかったダケだろう。
 養護学校に進学した同じ障害を持った連中は、職業訓練を受けて就職して自立しているのに、親の見栄で、普通学級に進学させられた俺は、就職できなかった」
「俺の障害を受け入れてくれない、見栄っぱりな親のせいで、俺の人生はメチャクチャにさせられた!」

 

結局、息子さんは親に対する恨みつらみの遺書を残して自殺。
最後に親御さんは
「もっと息子の気持ちを考えてやれば良かった」
「健常児と同じようにする事が、息子の為だと思っていたが、間違いだった」
と嘆いていたな。

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